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15年ぶりの再会 [我がよき友]

高校時代の同級生に15年ぶりにイギリスで再会した。高校を出たあとの彼は、大学医学部を卒業すると地域医療に興味を持ち、医者として無医村などに赴任した。現在はオックスフォード大学の院で医療人類学を学んでいる。

15年ぶりにあった彼は、一貫した明確な立場性と明晰かつ直観的な思考で、イギリスにおいて日本語を使っての対等な議論に永らく飢えていた僕の欲求を完全に満たした。彼が2月にロンドンをおとずれた時も、僕がこの度オックスフォードをおとずれた時も、イギリス論、日本論、両文化の根本的差異、ポストモダニズムなどなど多岐にわたって意見を交換した。彼の人類学的な分析アプローチは、欧州の果てにあるイギリスにあってさえ、物事の本質をつかんではなさない。彼が高校卒業以来学び、吸収して来たものと、彼の探求心の深さを伺い知ることができる。

彼は、僕が「本質的でない」と言う理由で高校を卒業したあとに放棄し、逸脱してしまったものに真剣に向き合ってきたようにみえる。そして、その正統的な学問的姿勢とも言うべき真摯な態度と、鋭敏で的確な表現を可能とする彼の洞察力と言語能力が、彼の人生における次章を前にしてなにかを開花させようとしているようにさえ見える。このような独創的な人間を排出することのできる、我が母校、日本の大学教育は評価されてしかるべきであろう。

僕にしてみると、彼の物言いというのは、イギリス、フランス、台湾と6年近くに及んだ僕の海外留学生活の中において醸成された不純物、言わば「あく」のようなものを取り除くことができるツールである。それは僕がまた「戻って行くことを歓迎されている」知的で精神的な棲み家であり、それを僕に教えてくれたのはほかならぬ彼であった。こんな地の果てにおいて、期せずして稀有なともがらに出会うことになろうとは、イギリスを介した不思議な縁であった。

しょちょうの日記
http://blog.so-net.ne.jp/syocho/


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しょちょう

いやー、過大なご評価恐縮です。
>「戻って行くことを歓迎されている」知的で精神的な棲み家
ぜひ、戻ってください!戻れますよ!
by しょちょう (2005-04-12 18:53) 

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