沖縄とアイヌの歌 [沖縄・北海道]
去年の冬にはじめて沖縄を訪れた。なにかに引き寄せられるように「神秘的」な森や「変わった」場所を多く訪れた。宿泊していた宜野湾市大謝名付近では「並々ならぬ気」を感じたし、バス通りに面した亀甲墓が気になってしょうがなかった。しかしこうした経験や感覚というものは、以前から特別あったものではなかったし、いわゆる「幽霊を見た」みたいなことも、フランスのサンテミリオンSt Emilionの古い宿で白い服を着た少女をみたぐらいで、特別に「霊感が強い」というタイプではない。
宜野湾の宿泊先で自転車を借りて、北谷(ちゃたん)方面にサイクリングに行った。北谷町砂辺にはクマヤーガマという洞窟があって、沖縄戦で多くの人がここに隠れて助かったという。もともとはそれを探していたのだが、気がつくとこんもりと木が茂った小さな山に着いていた。そこには多くの石でできた碑が建っていて、そこが特別な場所であることを示していた。一番最初に目に入ったのは「拝所ヌールガー」という立派な碑で、ここに書かれているカタカナの文字とその響きは、よそ者の僕を牽制しているようだった。
あまりに強烈な何かがでている地域で、周りを一周したが、なかなか近づいたり、入ったりできる感じではない。多くの聖地や拝所がある。宿泊先に帰ると、これが沖縄の人が伝統的に「拝み」をしにくる拝所というものであり、「うがんじょ」と発音することもわかった。沖縄本島を旅するうちに、多くの聖地を訪れることになったが、それはなんとも神秘的な感覚だった。
さて、僕は北海道に7年住んだことがある。今でも心の故郷は北海道で、できるものなら北海道に住みたいとさえ思っている。うちのお寺が札幌にあったら良かったのにと思う。日本から「IHUNKE(イフンケ)」というCDを送ってもらった。安東ウメ子さんというアイヌのおばあさんが、歌い継がれたアイヌの歌を歌っている。このCDは樺太アイヌの伝統弦楽器奏者オキさんと安東さんのコラボレーションになっている。ロン大の試験勉強中にこのCDばかりを聴いていた。歌は全てアイヌ語でうたわれていて独特の雰囲気がある。最初は「一種のトランス系音楽」といったかんじで、取っつきにくかった。フィンランド人の友達に聴かせると「super cool!」と言って、CDを焼いてくれといわれたりしたが、僕もどこか色物扱いしていた。
それがある日突然、懐かしく美しい旋律となって耳に入って来ることになる。自然の景色が鮮やかに目の前に広がる。そして僕の中では、沖縄で感じたことと、安東さんの歌声とオキさんのトンコリの音色が同じ線上にある。僕はそういうものが自分の中の深くに眠っているような気がしている。どこからか受け継いだ、ある種の叡知を見過ごしてはいけない。もっと大事にしていきたいと思うのだ。
今回の大学の最終試験における達成感というのは、僕にとっては成績云々よりも、その異常に緊張した精神状態を「自律訓練法」とこのCDで、気持ちを落ち着かせたまま乗り切ったことにある。
「IHUNKE」 http://tonkori.com/disc/ihunke.html
アイヌにはすごく興味ありです。そのCD聞きたいです。
by しょちょう (2005-06-14 06:12)
Irankarapute
E Iwanke Ya?
安東さんは去年の7月に亡くなりました。71歳でした。
喜納晶吉さんが北海道に来てアイヌとセッションしたときに
初めてお会いしました。20年ちかく前の話です。
ムックリを一緒に弾きました。
最近、この世代の方々がどんどん亡くなってしまわれるので
本当に寂しい。
Yaisama ne esa ♪
by makiri (2005-06-14 12:22)
しょちょうさん。
こんにちは。木曜日にオックスフォードに伺うおりに持参いたしましょう。お楽しみに。
makiriさん。
いらんからぷて♪ nice!をいただきまして、いらいらいけれ。そうですね、年寄りのはなしはできるだけ若いうちに聴くのがいいですね。安東さんの急逝は本当に惜しまれます。ネットで検索してたら萱野茂さんのお話が載っていました。「わたしの17歳」という題。
http://ch-k.kyodo.co.jp/17kyodo/number02/age17.html
素敵な話です。「ひおーい、おい」。
by 三平太 (2005-06-14 21:46)
hi-oi oiってありがとうだけじゃなくって
美味しいときにも言うなぁ。
綺麗な時にも言うなぁ。
萱野さんも北海道に帰ったら会いに行きましょうね。
by makiri (2005-06-15 15:48)