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清兵衛と瓢箪(志賀直哉) [ほん]


志賀直哉「清兵衛と瓢箪・網走まで」 新潮文庫

こっちの友人と食事をする際に、ソーホーの日系古本屋、徒波書房(あだなみしょぼう)に立ち寄った。その友人は僕に、彼がかねてから影響を受けたという本、マルクス・アウレリウスの「自省録」を買って贈ってくれた。僕は志賀直哉の文庫本「清兵衛と瓢箪・網走まで」を買った。

「清兵衛と瓢箪」は小学生の時に読んだ。通っていた塾の国語の授業で「読書シート」と呼ばれる、短編ばかりを集めた教材があった。一週間に一編ずつ配付され、一年間で数多くの短編を読んだ。「赤いロウソクと人魚」は小川未明だったか。宮沢賢治の「よだかの星」はよくわからなかった。芥川の「白」には感激していた。などなど、数多くの文学作品に触れることが出来た。中学受験勉強の塾通いだったのだろうが、これだけはいいきっかけをもらったと思う。

僕は短編が好きだ。これはこの時の影響かもしれない。特に芥川竜之介の短編が好きだったし、今も好きだ。

志賀直哉の「清兵衛と瓢箪」は、なんとも懐かしい原風景のような物を思い出させてくれる。今の僕の感覚からすれば、描写される風景は、非常に素朴な日本の風土で、文体は非常に斬新に思われる。僕はこういう物を失いつつあった。

読み終えてすがすがしい。こういう世界があったのだな。こういう感覚があったのだな。それは僕が小学生のときから、僕の中のどこかに常に一緒にあった精神的風土だった。これがあれば日本に帰ってもやっていける。そんなことを想った。


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しょちょう

その塾の入塾テストに落ちてしまった僕にはそういう精神的風土が養われなかったのかもしれません。笑
by しょちょう (2005-07-11 14:33) 

三平太

そのかわり、絶えざる向上心と不屈の闘志が養われたのでは? 
by 三平太 (2005-07-11 20:55) 

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