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ロンドン・テロ第2波 僕の一日(その1) [ロンドン同時多発テロ 現地レポート]

じつはテロ第二波のくわしい情報についてはまだ知らないし、そういう事はニュース記事や多くのブログに秀逸なものが多いので諸兄に任せるとして、僕は僕のロンドンでの今日一日を振り返ってみる。

今日は卒業式に出席するために来英していた両親が帰国する日だった。午後2時半過ぎ、日本への土産物を買うために中心部のコベント・ガーデンに出かける事にした。最寄り駅がまだ閉鎖されているのと、バスでは時間がかかるのでタクシーを使う事にする。しかしなかなか空車が通らないうえ、行く方角が違うと運転手に乗車拒否されてしまう。運良く一度通り過ぎたタクシーが引き返してくれて、一同一安心して車に乗り込む。カレドニアン・ロードを南下していると、カーラジオから「駅から全員が避難」「地下鉄のなになに線が不通」という声が聞こえてくる。運転手が携帯電話でなにやら情報交換している。ロンドン市内4ヶ所で爆破があったという。ハックニーではバスが爆破、大学そばのウォレン・ストリートでも爆発があった由。

この運転手さんはなかなかのいい人で、とても親切。2002年のワールドカップの時に日本に行き、各地を旅したという。「日本は素晴らしい国だ。出会った日本人は親切でいい人達ばかりだった」。テロのニュースが気になりながらも、安心した気持ちでコベント・ガーデン近くのロング・エイカーで下車。マーケットに行きお土産を買う。友達と携帯で連絡を取る。シェパーズ・ブッシュでも爆発があったという。一部の地下鉄が閉鎖されたらしい。

土産物を買い終わり、一度家に帰ることにする。南側の大きな通り、ストランドまで出て、バスで帰ろうとするが91番のバスがこない。バス停には多くの人が待っており、タクシーもほとんどが人を乗せている。この調子だとよる9時の飛行機に間に合わなくなる可能性がある。相棒がなんとかタクシーを止めて、家に帰ることにする。帰り道は地下鉄が不通になったためか、バス停でバスを待つ人が群を成していた。一旦カレドニアン・ロードの家まで戻る。

7月7日のテロの時は、バス、地下鉄と全ての公共交通機関がストップしたため、乗客がタクシー、ミニキャブに殺到した経緯がある。その日うちのフラットメイト(一緒に家をシェアして借りている人)はミニキャブ会社に電話をして「手配できるのは何時間後になるかわからない」と言われ、結局仕事に行くのをあきらめた。

家に帰るタクシーの中で考えたのは、いつものように空港に時間までに着けない可能性があるということだった。僕たちをカレドニアンロードで降ろしたあと、すぐに家に帰ると、奥さんと携帯ではなしていたこのタクシーの運転手に、家の前で待ってもらい、家から荷物を運び入れてパディントン駅まで行ってもらうように頼んだ。パディントンからヒースロー・エクスプレスに乗る事にした。この運転手さんがおもしろい人で、若く見えるが、実は71歳でこの道44年のベテラン。おしゃべり好きで親日家。家族一同運転手さんとの会話を楽しみ、結局ヒースロー空港まで運転してもらう事にした。

「わしはこの仕事が大好きだ。タクシー運転手っていうのはこんなにいい仕事なのに、嫌ってるやつが多い。そんなやつはさっさと辞めてしまえばいい。タクシー運転手でお金がないとぼやいてるやつらはなまけてる。俺は怠け者じゃない。金がないならもっと長い時間働きさえすればいい」。むかし日本人の女の子がホームステイしていたことがあるという。前の助手席には二人の元気な男の子の写真が貼ってある。今年5歳と2歳になる孫なのだという。元気なおじいさんに励まされながら空港に着く。(明日につづく)

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コメント 2

allen

そうでしたか、今回も無事でなによりでした。
Anyway 卒業おめでとーー!
by allen (2005-07-22 14:25) 

三平太

Allenさん、ご心配ありがとうございます。無事に日本に帰り着きますよ。
by 三平太 (2005-07-22 21:33) 

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