「よくひとりぼっちだった」モーリー・ロバートソン著 [さらば比較文化論]
この本は僕が高校在学中に話題になった本。高校時代からずっと気になっていた本ではあった。それが今年、ロンドンで15年ぶりに再会した高校のクラスメートしょちょう君が読んでおもしろかったということで、帰国したら読もうと思っていた。
さて、この本の著者モーリー・ロバートソンさんは、日本人とアメリカ人のハーフ。小学生のときから太平洋を挟んで、日米の学校を行ったり来たりしていた。僕とこの人との共通点はまず第一にロバートソンさんが通っていた「S学園」が僕の母校であることだ。しかも彼の本によく登場するF先生は、中学高校と6年間通して僕の学年の学年主任で、先日の記事「恩師の言葉」に登場していただいた先生だ。
実家に帰ってくると、この本を本棚の中で発見。そして、彼が小学校の一時期に、僕が卒業した小学校に通っていたこともわかった。
さて、紹介はこのくらいにする。
毎晩寝る前に少しずつ読んでいたのだが、昨日の夜この本を読み終えた。おもしろい本だった。結局僕は彼の述懐にかなり感情移入してしまった。とくにS高校に戻ってきてからの友人とのやり取りの場面には、引き込まれてしまった。
ぶつかってしまったのだなぁ。
なんというのだろうか。「ゆらぎ」というのだろうか。いわゆる、体験して得る「さらば比較文化論」的な感覚に好感を覚える。
そして、もう一つ踏みこんで見ると、
違う国の文化に限らず、
同じ国内であっても、
同じ文化の中だと思っても、
大きな価値観の違いというものは発生する。
それに気がついて、それがわかって、
結局、人間一人ずつが、個人個人で
別の価値観を持っていると識るのだ。
よく妹と話していたのですが、外国の相手と接する時は相手を尊重し価値観を尊重するという行動が自然にとれがち。一方で、同郷や同じ国の相手だと、価値観に対する先入観を知らず知らずに押し付けあっている事がある。だからこそ自分達はそれを理解して、実は日本人同士のでも常に異文化交流なんだということを心がけよう、と言っています。とても共感しました。
by usagi (2005-10-05 05:36)
そうなんです。usagiさんに分かりやすく説明してもらった感じです(笑)。結局どこでも異文化交流なんだとおもいます。僕は「日本で会う人達は同じ社会規範を共有しているのでつきあいやすい」ぐらいに思ってます。
by 三平太 (2005-10-05 13:14)
おお、ついに読んだのですね。ちょうどそっちに送ろうかなと思っていたところでした。三平太さんのように「反抗」していた人は彼に共感する部分も多いのでは?
東大とハーバードに両方現役合格したという事実よりも、僕は彼の感性の鋭さや実経験に裏打ちされた文化論、そしてキレのある文章に感銘を受けました。無論、F先生などS校に関する描写も面白いですよね。
by しょちょう (2005-10-05 14:23)
「ハーフであり、日米両国の文化価値観を持っていたこと」と言うよりは、彼の文章を読む限り日本人にしか思えないですね。国籍はどうかしらないけど、文化的には「彼、日本人(広島人?)でしょう?」(笑)。まず、見た目が日本人らしくなかったことが彼に大きな影響を及ぼしたのかなと。そして、彼は頑張って、東大やハーバードなどに合格してしまえたので、また、それなりに人にない苦労を味わったのかなという気がします。「変則マインドセット」が生み出すパワーでしょうか(笑。感情移入しつつもおおむねニュートラルに読めました。
by 三平太 (2005-10-05 22:33)
続編もうちにあるんだけど、読む?読むなら送るよ。
by しょちょう (2005-10-06 12:56)
読む読む。 送ってください!
by 三平太 (2005-10-07 08:31)