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フラグメンタルな世界


フィンランドの森を覆う美しいこけ

久しぶりに眠れない夜を過ごしている。布団の中でごろごろしながらイメージに上ってくることといえば、世界中に散らばる自分。なんだこりゃ!?

日本に帰国すると、海外生活を懐かしく振り返れると思って、ブログのカテゴリーにも数々の「回顧録」を設定したのに、不思議と回顧する気にならない。というか、回顧させてくれないというか(苦笑

眠れないので、眠れないながらもうとうとしていると、思いつくのは、フランス時代のドイツ人の女友達だったリ、とても美しい歌声をバスの中で披露してくれたポーランド人女性だったり、デンマークの外交官候補や植木屋の若者だったり。次から次へと出てくる。

台湾時代の懐かしい人達。ロンドン時代の懐かしい人達。次から次へと、もう二度と会わないかも知れない人たちの顔が浮かんでくる。

そして、シーンが切り替わるたびに、俺自身はフランスのモンペリエの大学の寮にいたり、台北のアパートにいたり、ロンドンのフラットにいたり、札幌の中島公園近くのマンションにいたり、京都の吉田寮にいたりして、いったい自分がどこにいるのかわからなくなってしまう。

世界が自分が時を過ごした場所ごとに断片化して、ともすれば微妙な加減で立っている立体的なパズルが、あたかも崩れようとしているかのような、そんな不安感に襲われる。

たまにはそんな気分を楽しめというお告げなのかもしれない。そういえば子供の頃、母親の実家(熊本)から広島に帰ってきた日の夜はいつも同じ夢を見ていた。荒れ果てた荒野の中を、太陽がだらだらと照らす。その中を俺は、ただ一人とぼとぼと歩く。何が怖いといって、その状態がずっと変わらないことが途方もなく怖い。淋しくて、怖くて、あまりにも無力であることを思い知らされる。何度も目覚めては起き出して、泣きながら父親のそばに走っていった。

そういった感覚は、多分の俺にとって大事なものなのだろう。世界中から、有縁の皆々が覚えといてくれよと挨拶に来る、たまにはそんな眠れない夜を楽しむとしよう。


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コメント 5

makiri

過去って言うのは自分の中で再構築されるものだよね。
私は何年か時が過ぎて、昔の事を当時の人と喋れるのはとても安心する。
特に私には故郷があってないような物だから特別にそう感じるのかもしれない。
だから「あなたとの過去を振り返る余裕がない」なんて言われたら自分を否定された様に思うんだわ。

過去を思う時に感じる胸の痛みをよく知っているので
私はいつだってそっと肩を抱いてその話を聞く事ができるのです。
by makiri (2005-11-24 08:13) 

しょちょう

幻想的な内容に味のある文章。すばらしいです。作家デビューしてみては?
by しょちょう (2005-11-24 22:46) 

三平太

makiriさん。そうですね。過去は常に誰かの現在に存在するのです。

しょちょうさん。お褒め頂いて光栄です。作家デビューは18の時に延期したままです(笑。楽しく文章が書けるようになったらデビューしますんでそれまで応援よろ〜(爆笑
by 三平太 (2005-11-25 00:10) 

makiri

「過去は常に誰かの現在に存在する」名言ですねw
by makiri (2005-11-25 14:25) 

deco

過去が 存在しなければ 今のあたしはなかった・・
過去が 人生を殺すことも あるんです。
フラグメンタルに いかない人生です
繋がり続ける過去との闘いです・・・
by deco (2009-02-26 11:15) 

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