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小林よしのり

海外に出て早6年も経ってしまった。ちと早いのではあるが、論文が一段落したところで気分転換をかねて、帰国に先立って『俺の人生の意味はなんぞや』みたいなことを、少し考えてみる。

今日は学校の前で、台湾に留学しているはずの友達にたまたま出会い、中国人の友達、日本語科で学ぶ二人のイギリス人とともに食事に行った。うちの大学(SOAS)で中国語を学ぶものは、2年次に一年間北京師範大学に留学することになっている。うちの学校で中国語を学ぶ彼が台湾に行ったのにはわけがある。彼は法輪功を実践しているのだ。さて、そんな彼がいきなり台湾から帰ってきていたのでびっくりした。食事の後は久しぶりにパブに行き、ギネスを飲みながら彼と科学や宗教などのはなしをした。

例えばひとが『真実』と言うようなことばを口にする時に、そのことばに何が伴うのであろうか。『科学』を不完全だといって批判するのはたやすい。既成宗教を堕落していると批判するのも正当性がある。もしかすると『真実』ということばは口に出してはいけないのかも知れない。本来真理を探究するはずの科学も同じで、一度『正しい』とか『絶対である』ということになってしまうと、その時点で探求を放棄してしまうことになるからだ。ま、こういうことはどうでもいいと思いつつ、しかし何かを追い求め続けるのである。僕はこの性向を好奇心と呼んでいる。

ただ、平凡な人間が果たして何かにたどり着けるのかというのは、脆弱な人間性を前提とする僕の防衛線でもある。期せずして危険な領域に踏み込んでしまった時に自分は対処できるのか。そんなことがストッパーになるのだが、そうやってバランスをとっているのだろう。

さて、小林よしのりという人がいる。僕は台湾に暮らしている時に『台湾論』を読んだ。どう思ったのか実はよく覚えていない。最初にもいったが、僕は日本を離れて6年が経つ。その間に、小林氏をめぐる状況が日本でどう変化したのかよく知らない。若者に支持されたり、いろんな方面から批判の矢面に立たされたりしていたのは、僕が日本を去るごろである。とはいえ、こういう時期にこういう人の名前を挙げると、また自分から進んで自分に変な色をつけてしまうことになるは十分承知している。

それでも僕はどこかで小林氏を応援している。なぜか。それは彼に一種の真摯さを感じるからだ。もう一度いっておくが、彼をめぐる情勢が今日本でどうなっているのか、僕はまったく知らない。直接会って話したこともない、どこかでちらっと遠めに姿を拝見しただけだ。もしかして、以前よりも先鋭化しているかも知れないし、もうこいつは流行ってないといわれているのかも知れない。もし「思想」などというものがあるとすると、それが僕と合うかどうか、、、。でも、どこかで彼を応援している。

彼は表現者としてどこかで自分の限界を必要以上に引き受けているように感じられる。誰だって折り合いつけてんだよ、と言われればまったく反論する余地も無く、その必要もないが、なにか人とは違ったへんなものを感じる。ああいう人がいると、なんか自分も生きていきやすいな、と思う。そうか、自分が励まされているように感じるから、彼を応援したいのか。自分の人生の意味を考えた時に、ふとそういうことが頭をよぎって消えていった。


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makiri

日本を離れると自分でも意外な物や人が気になるよね。
石原慎太郎とかSAPIOとか(w
by makiri (2005-04-17 01:24) 

三平太

makiriさん、こんにちはー。
そうですね。確かに日本にいる時はあまり気にならなかった石原慎太郎がものすごくまともな政治家に思えるようになりましたね。あの人のことを「右翼」とかいっていると、日本以外の先進国の政治家のほとんどが右翼だということになる。石原氏は国際標準だと思います。彼がニュースに取り上げられるたびに、海外からその頼もしい発言に耳を傾けております。でも、僕はSAPIOは気になったことないですよ(笑
by 三平太 (2005-04-17 03:34) 

makiri

石原氏は海外から見て愛国者という立場のわかりやすい発言をしていると思います。何かのテクニックを使ってるかのように見えるのがすごいと思ってしまいます。ところで、早速、三平太さんのこの記事をnice!にしたら、自分のブログのサイドバーに「小林よしのり」と表示されて、まるで私が小林よしのりをnice!と思っているかのように見えて、これまた何かのテクニックですかね(w
by makiri (2005-04-17 03:41) 

しょちょう

SAPIOって何者ですか?日本人ですか?
石原慎太郎については外国人への差別的な発言以外はナイスだと思ってます。
by しょちょう (2005-04-17 08:14) 

三平太

SAPIOって確か小学館がだしている雑誌(まだあるのかどうか知らないのですが)で、小林よしのりが『ゴーマニズム宣言』で扶桑社のSPA!を追い出された(?)あと移った雑誌じゃなかったかと。石原慎太郎は、海外にいるとその雄姿ばかりが目に映ってしまって、、、。「外国人への差別的発言」というと、三国人発言とかそういった類いですか。具体的に教えていただけるとうれしいです。
by 三平太 (2005-04-17 22:49) 

てるみ

こっちのブログ方が三平太さんには居心地良さそうですね。
論文終わったって?あと5日もあるっていうのに!?僕はちゃんと期限一杯まで足掻くつもりで居るので、そのあと楽しくご飯でも食べましょう。
by てるみ (2005-04-18 03:03) 

しょちょう

そうです、その内容と反論が以下のページに出てます
http://www.infoperience.com/mma/journal/2000/mma041500.html

「よしりん」についてはああいう人がいることは社会にとって健全だと思う。つまり極端に自虐的な日本人がたくさんいる以上、ああいう国粋主義的な人が現れてバランスを取ってくれるのはいいことだと思う。
そうだ、日本人の自虐的傾向についてもブログ書いてみよう。実は日本人の最大の特徴はこの「自虐性」ではないかと最近思うようになったので。
いいなあ論文一段落で、こっちは試験勉強はかどりません。
by しょちょう (2005-04-18 05:46) 

三平太

日本人の自虐性とイギリス人のそれとは類似点が有るといった人がいるが、、、どうでしょう?
by 三平太 (2005-04-21 08:20) 

三平太

てるみさん。いらっしゃい。
返事が遅れましたね。いや、やはり文字数制限がないほうが僕にとっては描きやすいようです。少なく簡潔な文章量で、同時に非言語的な表現を追究しようとしていたのですが、ま、そう言うのもできるってことで、基本的には雄弁に話せる方が僕にとっては健康的なようです。
by 三平太 (2005-04-21 08:24) 

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