青い空 [フランス回顧録(2001)]
イギリスに長く住んだせいか天気に敏感になったような気がする。5月も後半になったというのに、今年京都はどんよりとした天気がつづきぱっとしないのである。
イギリスに住んだことのない人でも、イギリスの陰鬱な天気が人々にどういう影響を与えるかは比較的想像しやすいだろう。まだまだ肌寒い4月、イギリスに季節外れの真夏のような陽気がおとずれることがある。空は青く、高く澄み、太陽に照らされた町は彩りを増し光り輝く。人々は明るくほがらかで、親切になって、まるで別の国のような印象を与える。
ところで、僕は南仏に8っヶ月ほど住んだことがある。この地域は地中海性気候で非常に過ごしやすいところだといわれている。僕が住んでいたのはモンペリエという町で港町マルセーユの西側にある。
マルセーユはデュマの「モンテクリスト伯」のエドモン・ダンテスが生まれ育った町だが、カミュの「異邦人」の舞台でもある。異邦人の主人公は法廷で殺人を犯した理由を問われ「ただ暑さのせい」だったと答えた。この発言を始めとして、次々に描かれる一連の理不尽さがこの小説の主題であるのかもしれない。
南仏の人々が持つ、この「理不尽さについての感覚」は、湿潤な環境で過ごす日本人とちがって、かなり「乾燥している」ように感じられる。そういえばオランダ人画家のゴッホが自分の耳を切りとってしまったのも、たしか彼が南仏の町アルルにいたときであった。
南仏人気質という言葉がある。一見温厚そうな彼らの中で何かが強烈にはじける瞬間がある。窓から外を見ながら、ふとそういうことを考えた。
あぁ、もう、今、まさにそんな感じw
沖縄は梅雨が明けて、太陽は遠くで燃えながら
私に直接触って焦がすようだ。
この空は南仏に似ているよ。
広がる夏の青。浮かぶ白い雲。
by makiri (2006-06-24 16:12)
私も気づけば、日記にお天気のことを最初にかくようになってた。
そして、自分の気分が空模様に非常に左右されているのに気づいた。
たった2年間だったのに。
by chako (2006-07-05 23:59)